top of page

「木漏れ日と透明人間」

 

誰もいない
木漏れ日のなか
ひとつの人影が
足もとのどんぐりを
浮かびあがらせます

 

ふと 目にとまったのは
あかげら
悠然と どんぐりの幹を
餌を 啄ばみながら
上へ上へと

 

すると
チィ チィ チィー
サッと 風を切る音が

 

見あげると 今度は
紅葉した雑木林の
葉から葉影へと
青い痩せた小鳥たちが
飛び交っています

 

誰もいない やわらかな
木漏れ日のなか
雑木林は 風に揺れ
ぼくは
透明人間になりました

bottom of page